2018年4月に宅建業法が改正され状況調査(インスペクション)が不動産取引においてその存在が明示され約7年が経ちました。
この間様々なかたちでこの「ホームインスペクション」という言葉が解釈の幅を広げ、そのことにより多少なりとも認知度が上がったことは良いのですがやや本来の役割から外れている捉え方もありますので今回はこれを一旦整理してみましょう。
今世間で「ホームインスペクション」といった場合、大きく以下の4つに分けられます。
①中古住宅のホームインスペクション
②新築住宅(完成時)のホームインスペクション
③新築住宅工事中のインスペクション
④不具合・クレームについてのインスペクション
①中古住宅のホームインスペクション
元々ホームインスペクションはこれがメインであり、買い主がこれから購入する物件に大きな劣化や不具合が無いかどうかを事前にチェックするために行います。
経年した建物では多かれ少なかれ劣化や不具合が存在しますが、問題はその有無が問題ではなくその程度が自分たちが許容できる範囲かどうかについてアドバイスをするためのもの。
ここで「既存住宅状況調査」との違いが問題となりますが、これはまた別の機会にお話しします。
②新築住宅(完成時)のホームインスペクション
既に建っている建物を調査する意味では①と同じですが、ここで言う不具合や劣化は本来ないことが前提であり当然施工者や販売会社に補修を請求することが出来るかどうかが買い主にとって問題となります。
多くの場合が引き渡し前のインスペクションによって指摘された不具合については補修してもらえますが、一旦引き渡しを受けた後ですとその対応が遅れがちかつ消極的になる傾向にありますので事前にチェックすることが必要です。
③新築住宅工事中のインスペクション
ここ数年の間に特に依頼が増えてきているこちらのインスペクション。注文住宅を建てる方がSNSを利用して家づくりの情報収集するのが一般的になり、その中で第三者に建築中の工事をチェックしてもらう必要性を知り依頼をするという流れがあります。
本来は請け負った建築会社がその品質を担保するべきではありますが、現状の住宅建築のスキームではその品質管理についておろそかになりやすいのは否めません。
そこで後からでは是正することが困難となる要所要所で我々第三者がチェックする意味があるのです。
④不具合・クレームについてのインスペクション
既に住んでいる住宅において施工不良によるクレームや不具合の調査がこれにあたります。欠陥というとネガティブなイメージが強くなるのであまり使いたくないのですが、生活する上で問題が生じる場合はその原因を追究し対処方法を考えなければなりません。
感情のもつれから大きな問題に発展している場面に直面することもありますが、ホームインスペクションが住宅診断と呼ばれるようにあくまでも専門家として客観的なアドバイスが求められます。
その他ビルやアパートなどの収益物件や事務所、店舗、病院などの施設のインスペクションもありますが、これらは求められる調査の内容が違ってきますのでまた違うカテゴリーとして分けておきます。
今回はあらためて「ホームインスペクション」をご説明しました。
住宅購入や建築について不安や質問があるとき、先ずは我々ホームインスペクターにご相談下さい。